結論: 計算はたしかに面倒なのでアプリを使いましょう!
P(Protein たんぱく質)F(Fat 脂質)C(Carbo 炭水化物)を略してPFC
3大栄養素であるタンパク質、脂質、炭水化物を略してPFC。この3つの比率をPFC比率といいます。厚生労働省が推奨する健康的に生活していくうえで理想的なPFC比率の大まかな目安はタンパク質が15%、脂質が25%、炭水化物が60%です。
ただし、この比率にエビデンスはありません。集計当時の日本において、この比率の対照グループが比較的健康だったという意味合いです。栄養素の吸収率には個人差がありますがおよその基準になります。
多くのダイエット法が流行っては消えていきました
栄養バランスを把握するための王道的な手法がPFC比率です。置き換えダイエット法などから糖質制限や脂質制限に至るまでダイエット法は様々ありますが、PFC比率によって栄養状態を把握することで自分自身で健康的なダイエットをデザインできます。
PFC比率のモニタリングは確かに手間ではありますが健康を害するダイエットを避けることができます。また、どの比率だと体調がどうなるのかを知ることは一生ものの知識です。PFC比率は、自己管理をしていく上での指針になります。
(力がでない、お腹が張る、便秘、お腹が緩くなる、体温が上がる、下がる、元気になる、肌の調子、睡眠時間、日中の眠気、食欲、機嫌、頭痛など PFC比率は私自身の指標となっています。)
それぞれのPFC比率
一般人 15:25:60
ランナー 15:15:70(炭水化物かなり多め)
筋トレ愛好家 20:20:60(タンパク質やや多め)
ボディビルダーの筋肥大期Ⅰ 30:20:50(高タンパク・低脂肪、肥大期には食事のボリュームを増やすので相対的に高炭水化物になります)
ボディビルダーの筋肥大期Ⅱ 40:20:40(より脂肪がつきにくい)
江部先生推奨の糖質制限
21:38:41(夕だけ主食抜き)
28:45:27(朝・夕主食抜き)
32:56:12(三食主食抜き)
ゆるい糖質制限(初心者におススメ、まずは炭水化物の比率を50~55%に設定)
20:30:50
世界各国のPFC比率
中国 12:25:63 (日本人と近い)
インド 9:19:72 (ライス大好き)
アメリカ 12:40:48(高脂質な典型的欧米型食生活)
フランス 13:42:45
イタリア 13:39:48
アジア人と欧米人ではそもそもインスリンの分泌能が違いますので、アジア人が欧米型の高脂質で砂糖・果糖の多い食生活を送ると糖尿病になり易いです。
PFC比率からPFCそれぞれのグラム数を算出できます
タンパク質1g=4Kcal、脂質1g=9Kcal、炭水化物1g=4Kcalとして換算します。たとえば一日の摂取エネルギーを1600Kcalでダイエットするぞ!と決意して、PFC比率をタンパク質P25:脂質F25:炭水化物C50に設定した時のPFCのグラム数を求めます。
タンパク質(P)、(0.25×1600)÷4 = 100(g)
脂質(F)、(0.25×1600)÷9 = 44(g)
炭水化物(C)、(0.5×1600)÷4 = 200(g)
この人の場合、タンパク質100g、脂質44g、炭水化物200gが必要ということです。
(スマホのアプリには、食べたものを入力すればPFC比率や栄養素ごとの摂取量など自動で計算してくれるものがあり便利です)
PFC比率のコントロール方法
筋トレをしている人ならまずタンパク質量を決めて筋肥大を優先しましょう。
糖質制限などのダイエットに取り組む人は炭水化物の比率を決めます。
脂質を決めるのは最後、という順番がやりやすいです。
減量時でも脂質の削りすぎは危険です
脂質は細胞膜やホルモンの原料になりますので減らしすぎは良くありません。10%を下回ると女性は生理が止まります。ただし、実際にPFC比率をモニタリングすればわかりますが、相当に頑張って減らしても脂質の比率は20%が限界レベルです。
減量時でもタンパク質量は確保しましょう
厚生労働省はタンパク質摂取量の上限値を設けていません。健常者にとってタンパク質の過剰摂取による健康被害は確認されていないともいえますが、摂りすぎれば消化器系に負担がかかります。
1.体重によるタンパク質量の求め方
運動していない人なら体重(Kg)の1倍のタンパク質で十分です(60キロなら60グラム)。
筋トレなどの運動をしているなら体重(Kg)の1.5倍のタンパク質を摂りましょう(60キロなら90グラム)。減量期においてもこのタンパク質量は確保します。ボディビルダーは300~400gほど摂る人もいるようですがプロテインメーカーがスポンサーだったりします。
2.LBM(徐脂肪体重)によるタンパク質量の求め方
徐脂肪体重(体重から脂肪を引いた体重), LBM(Lean Body Index)
体重からタンパク質量を決めるのは、やせ型や太っている人を考慮しないで計算するため正確性にかけます。そこで徐脂肪体重を基準にすることでより正確に計算できます。(しかしLBMの測定自体、誤差が出やすいのでこれも参考程度)
LBM×2.2 ・・・激しいスポーツや筋トレをしている人
LBM×1.5 ・・・軽い筋トレ・スポーツ・ジョギング
LBM×1.1 ・・・運動習慣のない人
LBM×(2.4~)3.0 ・・・体重を増やしながら筋肉をつけたい人
LBM×(1.3~)2.0 ・・・ダイエットをしながら筋肉を増やしたい人
例)徐脂肪体重(LBM)が60キロの人が「ダイエットもしながら筋肉を増やしたい」となったら60×2=120・・・120gのタンパク質が必要です。
減量時にはカロリー収支がマイナスの中にあっても筋肉が分解されるのを防ぐため、タンパク質量は多めに設定されています。
減量するなら炭水化物を減らすと即効性があります
糖質制限などのダイエットに取り組む人は炭水化物の比率を決めます。多くの人は炭水化物の比率は60%以上あるので、まずは50%から始めて様子を見ていきます。脂質量が相対的に増えますので体調に変化が現れます。脂質の多い食生活を続けられる日本人は少数なので結果としてカロリー制限も行うことになるでしょう。
糖質制限ではまず水分が減るので体重はストンと落ちます(2週間で4~5キロなど)。糖質は肝臓や筋肉にグリコーゲンとして貯められています。糖質を貯めるにはその3倍の水分が必要です。糖質を制限するとグリコーゲンも減るため水分が減り体重が落ちます。
極端な糖質制限をすると糖質からのエネルギーを得られなくなる分、異化作用がおこり筋肉が分解されます(糖質が不足すると、エネルギーをつくるため分解された筋肉は、血液中でアミノ酸となり肝臓に運ばれ、そこからブドウ糖が作られエネルギーとなります)。まずは炭水化物50%くらいがおススメです。
糖質制限の注意点
筋グリコーゲンが不足するので糖質制限中の筋トレは力が入りません。糖質制限中の筋トレで異化作用を防ぎたい場合には、運動前のBCAAの摂取である程度抑制できます。
肉食では便は臭くなりやすい上、油はお腹をゆるくしやすいです。炭水化物は食物繊維をふくんでいるので、減らした炭水化物の代わりに海藻・キノコ類を積極的に摂りましょう。
筋トレ・スポーツなど運動している人が減量するには、脂質を減らして総摂取カロリーを減らしましょう(脂質比率は20%ほどまで)。すると炭水化物の割合が増えるのでしっかり身体が動きます。ダイエットでパフォーマンス低下では本末転倒です。
マラソンなど持久系のスポーツと糖質制限は相性が良いです。脂肪酸とケトン体という脂質がエネルギーになりますのでパフォーマンスアップにつながる可能性が高いです。
※からだ琉球では「健康とダイエットは両立する」という食事指導を行っております。自身のカラダは、自身で選んで食べた物からできています!食事をクリーンにすることは身体運動と同様に大きなインパクトがあります。是非、トライをおススメします!
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