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うねり運動論

更新日:2021年5月25日

「うねり」は脊椎動物であるヒトの本質的な運動様式

 

魚類や爬虫類は身体を左右に蛇行させて推進します。左右交互に前から後ろに体軸に沿ってリズミカルな波が連続的に生み出されます。

イルカや馬・犬猫などの哺乳類は身体を上下に蛇行させて推進します。上下交互に前から後ろに波が生み出されます。


うねりの方向は違えど、脊椎動物のほぼ全てが脊椎を介した、このうねり動作を移動様式として使っています。


生命進化の過程で、陸に上がり身体を地面から離しての四足歩行が可能になって以降、うねりの方向は90度変化し、その後二足歩行で移動するヒトが現れました。


ヒトの脊柱は、魚のような左右のうねりと馬のような上下のうねりが可能な身体性を引き継ぎました。その結果、脊柱を3Dに動かすことが可能になり、例えば螺旋のように動かしたり等、他の生物には難しい複雑な運動が可能になっています。


スポーツのような複雑な身体運動は直立二足歩行のヒトにしかできない動きといえます。


ただヒトの身体は、現代人にとっては高機能すぎて扱いが大変です。そこで生命進化をさかのぼることで、忘れられた身体の記憶を取り戻し、脊椎動物として内在する本来の動きを思い出すという視点が必要なようです。

身体運動を通して生命進化をさかのぼる作業は、スポーツでのパフォーマンス向上は当然として、日常生活におこる頭痛・冷え・肩腰痛などの不定愁訴から心の不調まで、幅広く良い影響を及ぼす大きな可能性があります。


うねり運動システム

脊椎の個々の動きは4種類だけです。曲げる・反らす・ひねる・傾ける(屈曲・伸展・回旋・側屈)


脊椎は33個の骨から構成され、個々の脊椎は得手不得手はありますが概ねそのように可動します。


しかし、脊柱を頚椎から尾骨までをひとつながりとしてとらえると、全体としては実に複雑な動きを行っています。あらゆる方向にクネクネと一本のロープのように好き勝手に動けます。動きを表現できる言葉がないくらい、支点と可動部を入れ替えながら好き勝手な動きをしますが、脊柱の運動の本質はその好き勝手さにあるといえます。


とはいえ動きの自由度はとてつもなく高い一方で、その動きをガイドしまとめる運動パターンが必要です。運動パターンがないと、タコのようにニョロニョロとした無秩序な動きになり再現性はありません。同じ動きが二度とできないということは、舞踊やスポーツのような身体運動は絶対にできないということです。


そこで必要なのが「うねり」だと考えます。脊椎動物は、うねり運動とともに進化してきたともいえますし

全ての動作をまとめ、調整できるように進化したのがうねり運動システムだといえます。


脊椎動物たちが最も身体能力を発揮させる局面は、捕食したり捕食者から逃げたりといった生命の危機に直面した場面です。犬猫をみてても、普段その辺をプラプラしている時は脊椎のうねりはそこまで現れませんが、ここ一番といった場面ではグワーっとうねり出します。ここ一番で使われる運動システムがその生物のもつ身体運動の本質ではないでしょうか。


ヒトは進化のレール上で、このうねりシステムを引き継いでいるといえます。


うねりってなーに?

ここでは、クネクネした動作全てを「うねり」として扱います。サザエさんのオープニングのタマダンス、金魚運動などの方向性のない単なるクネクネした動きや蛇の蛇行運動(頭進運動)や海面の波のような方向性のあるもの(海面の船はうねられて移動していく)まで含めます。波送り運動、波動運動、波状運動ともいいます。

ヒトの全ての動きは3方向のうねりからなる

うねりという切り口から人間の身体運動をみるとスポーツから日常生活まで、人間の動作パターンは3方向のうねりの組み合わせによって構成されていると言えます。


まず3方向を定義します。立位を基準肢位として上下、左右、前後とここでは呼んでいきます。

  1. 上下 (水平面、Z軸)立位での鉛直方向

  2. 左右 (前額面、y軸)左右の腕がある方向

  3. 前後 (矢状面、x軸)顔が向いている方が前、後頭部が後ろ


1)上下のうねり

上下のうねりは玉突き運動のように、バトンタッチをしながら運動エネルギーを先へ先へと伝えていきます。単なる玉突き運動と違うのは、人間の場合、脊柱を中心としてつま先から頭まで筋運動によって自律的に動かすことができるので、エネルギーはロスせずに逆に増幅させることもできます。

脊柱はS字カーブを描いています。カーブの頂点は頚椎4番、胸椎7・8番、腰椎3番あたりにあります。一般的にS字カーブは地面から脳への衝撃を緩和するクッションの役目があるとされています。


一方、うねり運動の観点からは、以下のキュートなアニメーションのようにそれぞれのカーブが波送り運動の起点となり、安定した効率よいバトンタッチを助けています。

支点をスイッチしながら身体を先に送る様子は蛇の移動様式にも共通した要素があります。



2)左右のうねり

魚類や爬虫類系のうねりです。

体軸に沿って左右方向に支点と可動部とを交互にスイッチさせています。このことで、まるで動滑車が連なっているかのような効率の良さと大きな出力も可能としています。よくできた運動機構です。


この横振り運動は、横突棘筋の相反性伸張反射が発生源と考えられていますが詳細は不明です。3-6カ月の幼児期の腹ばいにみられ、腹ばい運動はその後、脊柱の湾曲の形成とともに、前後のうねりを伴ういわゆるハイハイと入れ替わります。


以下のキュートなアニメーションは、頭部固定モデルです。頭部にはバランスを司る眼と内耳がある為と体軸の存在の為、大きく動かす必要はないと思います。

手足無しの、腰から上のモデルとなりましたが、胸部ユニットと腰部ユニットはカウンターバランスの関係となり相互にバランスをとっています。


3)前後うねり

犬猫など、ほ乳類に代表される脊椎動物のうねりです。


体軸に沿って前後でうねらせています。


このキュートなアニメーションも頭部固定モデルであり、胸部ユニットと腰部ユニットはカウンターバランスの関係にあります。


膝関節は前後方向には可動しますのでこのうねり動作に加わります。


うねり運動は循環型運動連鎖

運動連鎖(キネティックチェーン)は近年よくきかれるようになりました。オープンやクローズドなどといわれますが現実動作においては一つの動作の中で混在してしまっています。


また、PNF(神経筋促通法)でのPNF肢位は、当時なりに運動連鎖を説明したものでした。


筋筋膜連結のアイデアもそうですが、


1つの姿勢、1つの動作を切り取って始まりと終わりで区切っています。


筋膜で経絡経穴を語る流れがあります。しかし筋膜連結と経絡の違いは循環しているかどうかです。アイデアとして、循環するうねり運動は、線がつながり相互に影響するという意味で経絡論に近いと感じています。


うねり運動を実際に行う上で動作の起点がどこにあるのか、終点がどこにあるのかはわかりません。なぜなら循環しているので存在していないからです。


例えば立位において、重心は動揺しながらバランスを保ち、呼吸し続け、動的平衡を保っています。生体において止まるときは死ぬときともいえます。個別の運動パターンを取り出すと全体のダイナミズムを忘れがちになり、統合や連鎖といいながら生体を扱っていることから離れていきます。

詳しくは個別のエクササイズ編で書きますが、流れの切り返しや別の系への転調も大きな運動要素となっています。武術系では多用しているようです。


運動連鎖を循環型とすることで色々な視点を持つことが可能になっています。



 

からだ琉球




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